奥能登曼荼羅再建部とは
奥能登曼荼羅再建部は、第1回奥能登国際芸術祭2017出展に向けて制作した作品《奥能登曼荼羅》を制作した当時のメンバー(金沢美術工芸大学卒業生)を中心に構成された有志団体です。
令和6年能登半島地震を含む三度の大地震によって作品が被災したことを契機に結成し、作品修復と珠洲市における再建・公開を目的として活動しています。
金沢美術工芸大学の現役学生（スズプロ）との協働も行っています。
《奥能登曼荼羅》とは
《奥能登曼荼羅》は、金沢美術工芸大学アートプロジェクトチーム［スズプロ］が制作した作品で、奥能登の原初的な美しさを、古民家の蔵（6m×9m×高さ6m）の内部を覆い尽くすように綿密に描写したインスタレーション作品です。奥能登を訪れた人が目にする眼前の風景だけではなく、少しずつ社会が変化しながら歴史や文化が積み重なり受け継がれた土地の姿を、自らが囲まれるようにして見つめることができます。
※作品会場であった珠洲市飯田町の古民家は、令和6年能登半島地震により倒壊し、現在は解体後、仮設住宅地となっています。
初めて公開された第1回奥能登国際芸術祭2017では、古民家を会場とした４つのインスタレーション作品群《静かな海流をめぐって》のうちの1作品として発表し、会期50日間で延べ1万9千人以上が来場。一般の来場者に加え地元の方々が繰り返し訪れるなど高く評価され、次年度からは恒久展示作品として芸術祭会期以外にも多くの来場者を迎えました。（奥能登地方のフィールドワークや地元民とのワークショップ、滞在拠点作り等を通した当時の活動報告誌はこちら）
発足の経緯
- 2017年
- 第1回奥能登国際芸術祭2017において、金沢美術工芸大学アートプロジェクトチーム[スズプロ]が《奥能登曼荼羅》を含む作品群「静かな海流をめぐって」を発表（会場：珠洲市飯田町の古民家・旧八木邸）。その後、常設作品として恒久展示される。以降、恒久展示作品として1年を通して鑑賞するツアーなどが組まれる。
- 2021年
- 第2回奥能登国際芸術祭 2020+ において新作と共に公開。
- 2022年6月19日
- 地震発生（珠洲・震度6弱）。
- 2023年5月5日
- 地震発生（珠洲・震度6強）によって展示会場の旧八木邸が被災。来場者の安全の確保が困難となり、第3回奥能登国際芸術祭2023での作品公開を断念。
- 2023年12月24日
- 展示会場である旧八木邸の解体が決定し、新たな展示場所へ移築するため《奥能登曼荼羅》の壁板部分の撤去を行い、会場近くの空き家へ輸送、保管。
- 2024年1月1日
- 令和6年能登半島地震（珠洲・震度6強）発生により旧八木邸は倒壊。数日前から《奥能登曼荼羅》を保管していた空き家も倒壊。
- 2024年3月19日
- 倒壊した空き家から《奥能登曼荼羅》を救出することに成功。珠洲市内の施設（旧図書館）に仮保管。
- 2025年9月1日
- 任意団体として「奥能登曼荼羅再建部」を設立。
団体規約はこちら
令和6年能登半島地震以降の活動と今後の展望
近年発生した一連の地震は、能登半島の成り立ちを想起させる程の地殻変動を伴った震災であり、地域の存続を揺るがす未曾有の事態であると考えています。令和6年1月、《奥能登曼荼羅》も一時倒壊した家屋の下敷きとなり存続が危ぶまれましたが、幸いにも大きな損傷もなく大部分の壁板を救出できたことが、再建に向けて本格的に活動するきっかけとなりました。
2025年は、《奥能登曼荼羅》の一部を金沢市内で展示したり、実際に修復作業を開始することができました。金沢美術工芸大学との連携も行い、再建場所の検討、活動資金調達の模索も順次進めています。
《奥能登曼荼羅》は、奥能登地域の地形や地域と対応するように歴史的・文化的な出来事や、生活の営み、環日本海地域を巡る「祭り」の伝播・継承の物語が網羅的に描かれています。公開当初から、地域や文化の時間的変化や、伝承・物語の追加を想定しており、奥能登の変化と呼応するように曼荼羅図も描き加えていくことができる技法を用いています。
そのため、《奥能登曼荼羅》をただ修復するだけでなく、震災を経て大きな変化が起きている奥能登地域の風景や物語も描き加えながら再建することを予定しています。
お問い合わせ
金沢美術工芸大学
アートプロジェクトチーム［スズプロ］
